◆奇襲◆ 「…アキラ様、入ってもよろしいでしょうか」 シキとの情事が終わって部屋へ戻るなり、ノックの音と共に部下の声がドアの外から聞こえた。 慌てているのだろうか。普段常に冷静であれと謳うシキの言葉に反してその声には余裕というものが無い。 「入れ」 「失礼します」 不思議に思いながらも、アキラは入室を許可した。 数秒も待つことなく、姿を現した黒服は―…じっとりと濡れていた。 一つのくすみも無く磨き上げられた黒い大理石の床に、男が歩くたび滑りを帯びた水滴が落ちる。 アキラの目の錯覚であろうか、その水滴は暗い赤の色をしていた。 「ご報告申し上げます。十六時四十分頃、城内に侵入者と思しき者達が現れました。数は二十人ほど、全員何らかの武器を所有。軍の中で負傷者は見張りとして立っていた者六名、うち一名は重傷です。」 彼の落とした水滴の正体は、彼自身と侵入者の流す血であった。 殆どは侵入者のものであろう、彼の表情に焦りは生じているものの、涼やかなものである。 嗅ぎ慣れた鉄錆びの匂いが鼻をつく。 無言のままアキラは腕を組んだ。 先鋭の軍を僅かな隙を突いたといえども傷付けることが出来るとは、なかなか腕が立つように感じられた。 出来れば、そのまま軍の中に入れても良いような気さえする。 先日の戦争による死傷者の補充として、新たな素材を再び教育しなおして軍に迎えるよりは、実戦の中で鍛えられた者を使う方が時間も費用もかからない。 「それで、全員捕らえたのか?」 静かな口調で部下を見つめた。 捕らえたのなら見てみたい。 そんな期待が胸中に宿り、鋭くとがったナイフのような瞳の奥に、僅かだが興奮の炎が灯る。 「あ…いえ、ただ一人主犯格の男が一番腕のたつ様子でして、まだこの城な……ぐっ」 鈍い肉を断つ音と共に、くぐもった声を上げて男はアキラの質問に皆まで答えきれずに顔を歪め崩れ落ちた。 倒れた男の後ろに立つ、細身の男。彼の手には血に濡れたナイフが握られている。 軍兵になりすまして紛れていたのだろう。 前に倒れている男と同じように誰かを殺し身につけた軍服もやはりどこか血なまぐさかった。 頭のてっぺんまで、完璧に着こなした姿はよくよく見てみないとその違いに気付けない。 深く被ったヘルメットから僅かに男の表情が見て取れる。 ただ一つ。 表情のある彼の口元だけが異質なものとしてその存在を示していた。 人形ではない、本当の意味での生身の人間。 男がゆっくりとヘルメットを脱ぎ、アキラに視線を向けた。 余裕そうな笑みを顔面に貼り付け、アキラを見るその瞳には、生気がある。 クスリもやっていない、澄んだ瞳がアキラの視線とかち合う。 この乱れた世に魂まで落ちぶれていない人間が庶民の間で存在するとは…感心したようにアキラの口元から息が吐き出された。 コピー本「腹心」一部抜粋 | ||
「腹心」第2章の「奇襲」はこのような形になっております。…グロさも追求できればいいなぁと思いつつ、私にはまだまだ追求しきれていない部分も多々存在し、
次回の参考になったと思います。
勿論、セク描写もありますので♪(しかも本の約半分) ◆γуμ‐уд◇ |
素材をお借りいたしました
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