THE LOST


冷たい黒の中

誰もいない



目いっぱい伸ばしたら、この手は闇に

吸い込まれてそのまま、

俺の元に戻ってこなくなるかも知れない。



とにかく、すぐにでもここから離れたい。



歩く。

何処へ?

そんなの関係ないさ。

どう進んでいるのか、皆目見当つかないから。



沈黙に耳がやられそうだ。



大声で叫ぶ。

何を?

そんなの どうでもいいさ。

醜いこだまがぼかしていくから。



しばらく歩いていると、

俺の足は俺のもんじゃない気がしてきた。

歩いているのかどうかも 判断できない。



仕方ないから足の好きなようにさせることにした。



俺の声も、とっくに自立していた。

みるみる歪んでいき、いつの間にか俺を呼ぶように

鳴っていった。



為す術もなく、

気の済むまで呼ばれてやる事にした。



だんだん、俺は耐えられなくなった。



もう手なんか伸ばすもんか。



実際、これ以上失うものを

増やす余地が なくなっていた。



そういうわけで。



俺は結局、

屈した。



すると、次々と容赦なく

俺から切り離していき…





やがて






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